【前編】25年越しに観た「冷静と情熱のあいだ」―自分が恋愛作品に酔いしれるなんて

【はじめに】まさかの恋愛作品
本日紹介する作品は「冷静と情熱のあいだ」。
映画と小説、両方観ました。
……自分でもびっくりしています。
僕が「恋愛作品」に酔いしれるなんて……!
映像作品はもっぱらダークファンタジー。
小説ならミステリー、微ホラー。
そんな僕が……恋愛作品……だと!?
いやいやいや。
人生捨てたもんじゃない。
(いや、まだ捨ててはいませんが)
「冷静と情熱のあいだ」のようなしっとりした作品を、僕のこんな語彙力で語るのは少し心苦しい。
しかしこういうスタンスのブログなので、このテンションで進めさせていただきまっす。
なぜ今さら観たのか
この作品を知ったのは2001年、映画公開当時。
当時は原作小説があることすら知りませんでした。
ヒロインはケリー・チャンさんが演じる「あおい」。
当時、ケリー・チャンさんは日本のCMでも引っ張りだこだった記憶があります。
エキゾチックで、クールビューティ。
凄くかっこいいお姉さん。
当時の僕はそう思っていました。
お相手は竹野内豊さんが演じる「順正(じゅんせい)」。
映画は、この順正を視点にした物語。
舞台はフィレンツェ。
主題歌は透き通る世界の使い手、Enya。
ケリー・チャン × 竹野内豊 × フィレンツェ × Enya。
この四コンボを喰らったうえで、トドメの「冷静と情熱のあいだ」という秀逸すぎるタイトル。
僕は直感しました。
「これは……お子ちゃまには早い映画だ」と。
きっと美しい。
きっと大人の恋愛。
だから、若い自分には分からないだろう。
観るならちゃんと自分も恋愛経験を踏んでからにしたい。
それから――25年。
気づけば登場人物の年齢をとっくに超えているやないかい!
2026年2月。たまたま Amazon Prime Videoで表示されているのを見て「あ……」と。
これは観なくては。
そう思って再生ボタンを押しました。
こうして僕は、遅すぎる春に飛び込んだのです。
(いくらなんでも遅すぎる)
――結果。
めちゃくちゃ良かった。
その勢いのまま原作小説を図書館で借りました。
完全にやられました。
映画「冷静と情熱のあいだ」あらすじ(ネタバレなし)
公開:2001年
監督:中江功
主演:竹野内豊/ケリー・チャン
舞台はイタリア・フィレンツェ。
絵画の修復士として働く順正は、10年前に別れた恋人・あおいを忘れられずにいる。
大学時代、強く惹かれ合いながらもすれ違いによって別れた二人。
あおいは現在、アメリカ人男性マーヴと同棲している。
かつて交わした約束。
「30歳になる誕生日に、フィレンツェのドゥオモで再会しよう」
それぞれの「冷静」と「情熱」を抱えながら、運命の再会へ向かっていくラブストーリーです。
映画は順正視点をメインに、再会までの10年をロマンチックに描いています。
映画の感想(ネタバレあり)
25年越しに初鑑賞。
感想はひとこと。
余韻が、余韻がすごい……!
あおいは学生時代、順正の人生を守るために身を引いた。
順正は現在、幸せそうなあおいの生活を壊せない。
未練があるのに、言葉にしない。
でもそれは不誠実というより「怖さ」に近い。
言ってしまえば、相手の人生を動かしてしまうかもしれない。
自分の願いで、相手に選ばせてしまうかもしれない。
だから二人は「沈黙」を選ぶ。
視線の長さ。
立ち止まる間。
伸びかけて引っ込める手。
「好き」と言わないまま、「好きでいる癖」だけが残る。
この物語の綺麗さはそこだと思いました。
ハッピーエンドも、勝ち取ったというより「辿り着いた」感じ。
だから余韻が残る。
終わったのに、静かに続いていく気がする。
若き日の竹野内豊という破壊力
今やイケオジ代表格の竹野内豊さん。
でも当然、若い時代がある。
改めて観ると、その若さが物語の切なさを何倍にもしていました。
それが、遅れて鑑賞した僕にとって、「忘れることのできない過去という作品テーマ」と相乗して、美しく昇華したようにも思えました。
過去って、変えられないから美しくなることありませんか?
もう戻れないからこそ尊い。
若い頃の知り合いを見て、なぜかグッとくるあの感じ。
積み重なった時間ごと尊く思えてしまう現象。
あれ、名前つけてほしい。
映画と小説の大きな違い(超ネタバレあり)
最大の違いは再会のタイミング。
小説ではドゥオモが本当の再会。
映画ではその前に会う場面がある。
小説を先に読んだ人は「えっ」となるかも。
僕は原作後読みでしたが、正直ドゥオモまで取っておいてほしかったです。
ラストに流れるEnyaの「Wild Child」。
あれは反則。
余韻が……余韻が……。
(後編へ続く)
小説の感想と考察は後編でまとめています。
映画では静かだった感情が、原作ではもっと生々しく描かれています。
順正の未練、マーヴはもっと可哀想…。